皆さんこんにちは
某総合病院で救命救急センターで働きつつ
子供たちの育児に奮闘中のパパナース
HIROです
いよいよ暑い日が増えてきて
熱中症で搬送される方が増えてきました
さて、今月1日から始まった
救急車有料化というニュース
今回はこれについて多くの方は
勘違いをしているので
これの本当のところや
この施策の本当の意味などを
開設していきたいと思います
目次で読みたいところに飛べます
救急車の有料化とは
現行の救急車のシステム
現在、救急車を呼ぶのにお金はかかりません
スマートフォンで暗証番号がわからなくても
緊急の電話をかけられるようになっていますし
公衆電話(見かけなくなりましたが)でも
緊急通報はお金を入れなくても
かけることが出来ます
救急車を誰がいつどんな要件で呼んでも
どこかから請求書が来るということはありませんでした
だって
命の危機に瀕した時に
お金を気にして救急要請をためらうことが無いようにしたい
これがそもそもの背景にあります
救急車&有料化の報道のウソ
今回多くの報道がなされ
勘違いをしているのは
救急車を呼んだら請求が来るという勘違い
これにはNHKだって
勘違いを煽るように記事を書いています
勘違いさせる方も悪い
と思います
軽症で7700円のホントのところ
有料化されたお金は救急隊員の財布に…
救急車は消防の組織であり、総務省消防庁が管轄しています
一方で
病院は厚生労働省の管轄になります
実際には
病院が請求窓口となります
そして
そのお金は病院の収益であり
消防にお金は一銭も回りません
救急車が有料化だったら
救急隊や消防機関の収益になるはずですが
消防機関の財布は一切潤いません
救急車を自粛させたいワケ
NHKの記事にもありますが
救急要請件数が増えると
どんなデメリットがあるのでしょうか
救急車のルールとして
- 要請されたら要請者から不要と言われない限り病院などに搬送しなければいけない
- 1人の患者を搬送し終えるまで、次の要請があっても対応はできない
- 基本的には要請された順に救急車を向かわせる
- 搬送先が決まるまでは現場を出発できない
つまり
救急車が10台しかないのに
11件目の要請がきて
死にそうな人からのSOSでも
先に出ている10件のうちのどこかの救急車が
搬送終了とならない限り
11件目の要請に応じることはできません
また要請件数が多くなると
受け入れる側の病院にも
対応できるキャパがあるため
救急車の受け入れが困難になります
病院が受け入れ困難だと
救急車が来ても搬送先の病院が決まらず
現場を出発できない
つまり
救急隊が1件の要請を終えるまでの時間が長くなり
緊急対応が必要な患者さんのところにも迎えず
助かる命が助からない
ということが発生します
救急医療の役割分担
救急病院の違い
日本の救急医療は各役割を分けることで
キャパオーバーにならないためにも
下図の通り1次・2次・3次と分かれています
函館市立病院サイトより
1次は近所の町医者・クリニックです
待ち時間は短いけれども
精密検査や手術などが出来なかったり
休日や夜間は締まってしまいます
救急車で搬送されるのは2次or3次指定の救急病院です
3次救急は
超重症対応のできる病院で
救命救急センターと表示のある医療機関になり
日本には全国で300か所程度
地域でいえば
大型の総合病院であり
待ち時間は長くなりますが
夜間も様々な診療科の医師がいるなど
緊急処置を24時間行える体制を整えています
さいごに2次救急
3次ほどではないが救急車要請をされた際に搬送先として
候補に挙がる病院になります
その幅は緊急手術が必要な患者さんから
全く緊急性のない患者さんまで
様々です
そして
2次救急の搬送件数も対応する病院が最も多い
という現状があることは覚えておいてください
救急車の不適切「これはさすがにひどい」
コンビニ受診・ショートステイ代わり
救急病院は24時間365日空いていますので
「いつでも営業している」という意味で
コンビニのように捉えられがちです
・昼は仕事だから受診できなくて、仕事帰りに受診
・救急車だとすぐに見てくれるから
また、
病気やケガ人の看病、高齢者の介護など
人の手に預けて
「自由になりたい」
「もう限界」
と核家族社会では
協力が得られにくいので
ショートステイを利用される方もいます
それ自体は全く問題ありません
しかし
ある日突然預けたいといわれても
それが難しいのは分かると思います
それに応えられてしまうのが
病院に入院すること
家族の中には
救急車を呼んで
入院するつもりで荷物を大量に持ってきて
入院ができないというと
「入院させてよ。お願いだから」
と頼み込んでくるケースも少なくありません
タクシー代わり利用
自分で歩いて受診する場合
もともとの体力や筋力が無かったりすると
受診も困難です
さらに
車いすやストレッチャー移動可能な
介護タクシーはなかなか予約大変だったり
料金がかかったりします
それを克服してくれるのが
救急車を呼ぶこと
開いている病院の中から
症状に見合った病院を選定し
無料で家族まで乗せてくれます
救急医療の現状
変わらざるを得ない高齢者医療
日本の救急受診者は増えており
救急車が到着するまでの時間は
1年前に比べて約1分かかるようになり
10.3分になりました
救急車出動件数は右肩上がりです
※総務省のサイトで以下のグラフを見ることが出来ます
そして
救急車を呼んでいる年齢別にみると
高齢者が救急搬送増の大半を占めており
救急医療ひっ迫の原因となっている
ことがわかります
軽症が救急受診している現状
高齢者は若い人よりも病気になりやすいし
重篤化しやすい
これは揺るがない事実であり
それでも命に関わるなら仕方がない
救われている命があるなら
仕方ないじゃないか
そうおもったあなた
見てほしいのは
重症者は増えていないのに対して
中等症と軽症が全体の90%以上
しかも
救急要請の半分は軽症
皆さんが
サイレンが聞こえて譲ってくださっている救急車の
その半数が
タクシー代わりやコンビニ受診の救急車
に利用されている
そう思ったら
腹が立つ方も少なくないのではないでしょうか
最後に
ここまでお読みいただきありがとうございました
次回は
救急車の有料化はウソ!?第二弾
コロナ禍の医療崩壊は無料救急車のせいだった?
このテーマでお届けしたいと思います
これからも皆さんにとって
読みやすく
ためになる記事を目指していきますので
シェアやコメントをよろしくお願いします
HIRO
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